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日本から犬・猫を連れてくる——連れて行くより、連れて帰るほうが難しいBringing a dog or cat from Japan — the hard part is taking them back, not bringing them in
最終更新: 2026年7月10日 | 最終確認: 2026年8月10日 | YO-MIDOKORO編集部 | 約14分

犬をアメリカに入れる手続きは、2024年8月に大幅に簡単になりました。入国前6か月間を日本など狂犬病の低リスク国だけで過ごした犬なら、連邦(CDC)で要る書類はオンラインのフォーム1枚だけ。ただし書類以外に、健康そうに見えること・生後6か月以上・読み取れるマイクロチップという条件が付きます。ところが州の要件は別にあり、郡には避妊去勢の義務まであります。さらにその犬をいつか日本に連れて帰るなら、抗体検査の採血日から180日の待機期間が関わってきます。準備の順番を間違えると、帰国時に半年待たされることがあります。
渡米準備で必ず出る質問の1つが、これです。「犬は連れて行けますか」。
連邦の要件に限れば、拍子抜けするほど簡単です。入国前6か月間、狂犬病の高リスク国に一度も滞在していない犬なら、CDCが求める書類はオンラインのフォーム1枚だけ。獣医の証明書も、狂犬病の抗体検査も、連邦政府は要求していません。日本でずっと暮らしてきた犬は、ここに当てはまります。ただし、これで全部ではありません。
難しいのは、その先です。
まず、アメリカに入れる話から
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は2024年8月1日にルールを変えました。それまで国ごとにバラバラだった書類が整理され、「犬の狂犬病がない国、またはリスクの低い国」から来る犬は、CDC Dog Import Form の受領書だけでよくなりました。
ここでひとつ、先に釘を刺しておきます。「フォーム1枚」で足りるのは連邦(CDC)の要求だけです。CDC自身が、USDAと到着する州の要件を別に確認するよう案内しています。ネバダ州は健康証明書と有効な狂犬病接種を求めていて、この様式には条件があります(後半で扱います)。
日本はどちらに入るのか。CDCは「高リスク国」だけをサイトに列挙していて、そこに載っていない国はすべて低リスク扱いという書き方をしています。日本は載っていません。正確には、この簡易手続きの条件は「出発国」ではなく入国前6か月間、高リスク国に滞在していないこと——日本でずっと暮らしてきた犬なら当てはまります。
フォームについて、CDCが明記していること:
- 無料
- オンラインで送信すると、まずメールアドレスの確認メールが届く。それに答えて初めて受領書が発行される(2026年2月5日のシステム更新で、この一手間が入りました)
- 印刷しても、スマホの画面で見せてもいい
- 犬1頭につき1枚(2頭なら2枚)
- 出発当日に書いてもいい。ただし数日前〜6か月前に済ませておくのが推奨
- 受領書の有効期間は発行から6か月。ただし、その間に高リスク国へ行った場合、または受領書に書いたのとは別の低リスク国から入国する場合は使えません(同じ国を往復するなら期限まで使い回せます)
そして、フォーム以外に犬が満たすべき条件が3つ。
- 到着時に健康そうに見えること
- 入国時点で生後6か月以上であること
- 汎用スキャナーで読めるマイクロチップが入っていること
「生後6か月」は、子犬を連れて行きたい家庭には効いてきます。5か月では入れません。引っ越しの日程のほうを動かすことになります。
猫はもっと単純です。USDA APHIS は、外国から入れるペット猫について動物衛生上の要件を一切持っていません。CDCの犬用フォームも猫には要りません。
……と、ここまでが「アメリカに入れる」話。ここで安心して手続きを終えると、数年後に困ります。
本題:日本に連れて帰る時のこと
日本の動物検疫は、アメリカの入国審査より厳しい。
農林水産省 動物検疫所が、日本を出る飼い主に向けて書いている手順のSTEP 2 が、まさにこれです。
帰国の可能性が少しでもあるなら、日本への(再)入国条件を確認すること。取った措置によって、日本での輸入係留期間は 12時間以内で済むこともあれば、最長180日になることもある。
180日。半年です。条件を満たしていないと、空港で犬と引き離され、係留施設で最長そこまで待つことになります。
これを12時間に縮めるための措置には、順序と、それぞれに細かい条件があります。
- マイクロチップ装着(ISO 11784/11785 準拠)。1回目のワクチンより前、または同日に
- 狂犬病ワクチンを2回以上。1回目は生後91日以降(誕生日を0日として数える)。2回目は1回目から30日以上あけて、かつ1回目の有効期間(免疫の持続期間。ワクチン瓶の使用期限ではありません)の中で。打てるワクチンの種類も決まっています——不活化ワクチン、または組換え・改変ワクチン。生ワクチンとRNAワクチンは受理されません。日本国外で使われている場合があるので、種類の確認が要ります
- 2回目の後に採血(同じ日でも可)。農水省指定の検査機関で抗体価検査。0.5 IU/ml以上が必要
- 採血日を0日として、180日以上の待機。日本到着はワクチンの有効期間内、かつ抗体検査の有効期間(採血日から2年)の中に収まること
- 出国前に臨床検査。出国する国を出る前、搭乗前10日以内に、獣医師が狂犬病(犬はレプトスピラ症も)の症状がないことを診る
- 輸出国の政府機関が発行する証明書を受け取る。日本の動物検疫所に相当する役所のものです。推奨様式の Form AC は、民間の獣医師が記入したうえで政府職員の獣医師の裏書(endorsement)を受ける形。米国から日本へ戻す場合、その裏書はUSDA APHISが行います
さらに日本到着の40日前までに動物検疫所への事前届出が必要です。「2回打った」だけでは条件を満たさないことがある——91日齢と30日の間隔、そしてワクチンの種類が、実際によく落ちる穴です。打つ前に、この条件を満たす段取りかどうかを獣医師と確認しておいてください。
つまり、こういうことになります。
アメリカに行くための連邦の書類はほとんど要らない。でも、帰国時に半年待たされたくないなら、抗体検査までを日本出発前に済ませておくと安心です。 マイクロチップ確認・狂犬病ワクチン・抗体価検査は、米国到着後にUSDA認定獣医師のもとで進めることもできます。ただし採血日から180日の待機はどうやっても必要なので、帰国を急ぐ場合は日本出発前に済ませていないと間に合わないことがあります。なお日本へ入れるときの証明書は、民間の獣医師が書いて終わりではなく、政府の獣医師の裏書が要ります。米国からならUSDA APHISです。
渡米が決まった時点で、犬猫の予定も一緒に組む。これが順番です。「向こうで落ち着いてから考える」が、選べる余地を狭くします。
日本を出る手続き(動物検疫所)
行き先の入国条件と、日本の出国条件。両方を満たさないと出られません。動物検疫所が示している流れは、こうです。
- 渡航が決まったら、NACCS(動物検疫関連業務のオンラインシステム)で輸出検査を申請する。検査希望日の14日前までに(NACCSの利用が難しければ、輸出検査申請書をメールに添付して提出することもできます)
- 2027年1月1日から、犬については「輸出の14日前まで」の申請が法令上の義務になります(施行規則の改正済み)。通常運用の「検査希望日の14日前」とは基準日が違うので、混同しないこと
- 申請前に予約はできない。まず申請、それから日時
- 輸出検査は出発前10日以内に行われる。ただし渡航先の入国条件で検査の期間が決められている場合は、そちらが優先します
- 検査当日は、犬猫本人と、証明書の原本を全部持参する
- 検査と輸出検疫証明書(英文)の発行に、通常30〜60分。頭数や行き先の条件によってはもっとかかる
- 所有者と輸出手続きをする人が違う場合は、委任状が必要
動物検疫所が小さく、しかし親切に書いている注意が1つあります。検査の前日までに、マイクロチップがちゃんと読めるか確認しておくこと。 読めないチップは、その場ではどうにもなりません。
成田・羽田・関西の各動物検疫所は、検査の受付が毎日8:30–16:30。羽田は第3ターミナルのCIQ棟です(成田・関西の窓口の場所は空港内で変わることがあるので、申請時に各支所へ確認を)。
ラスベガスに着いてからの話
連邦のルールを通っても、まだ2階層あります。
ネバダ州。 州農務省の入州要件では、犬・猫・フェレットについて——
- 健康証明書(Health Certificate)が要る
- 狂犬病ワクチンが有効な状態であること
- 入州許可証は不要
CDCが要求しないからといって、健康証明書が要らないわけではない。要求しているのは州のほうです。
ここで注意したいのが、誰が書いた証明書かという条件です。ネバダ州行政法規 NAC 571.010 の「健康証明書」の定義は、2026年2月27日に届出された改正規則(R001-23)で書き換わりました。改正後は、動物の健康状態・出所・行き先・個体識別を記録した公式文書であって、米国農務省 APHIS の Veterinary Services が 9 CFR Part 161 に基づいて認定した獣医師が発行するもの、と定めています。9 CFR Part 161 に沿って作られた certificate of veterinary inspection(CVI)も含まれます。州農務局も、州際・国際間の移動については「認定獣医師だけが健康証明書を発行できる」と書き、国際間の質問はUSDAへ回すよう案内しています。つまり、かかりつけの動物病院に英文で1枚書いてもらえば終わり、とは限りません。日本の動物検疫所が出す輸出検疫証明書がこの定義を満たすのか、政府獣医師の裏書が別に要るのかは、当方では確認できていません。規則そのものには「いつ・どこで作成すること」という期限や場所の条件は書かれていないので、日本を出る前でなければ絶対に用意できない、とまでは言えません。ただ、渡航に間に合う形で用意できるかは別の話です。出国前に、ネバダ州農務局かUSDA(1-877-741-3690)に、受理される様式を直接確かめてください。
なお、狂犬病ワクチンの要件には年齢条件があります。ネバダ州行政法規 NAC 571.080 は、生後12週以上の犬・猫に狂犬病ワクチンを義務づけます。健康証明書は全頭に必要。ワクチンは12週以上です。「3か月」ではありません。
クラーク郡。 郡条例 Title 10 が、住んでからの義務を決めています(適用は郡の未編入地域。ヘンダーソン・ラスベガス市・ノースラスベガス市内は各市の条例が別にあるので、住む市のルールも確認を)。
- 生後3か月を超える犬・猫・フェレットは、狂犬病の予防接種を受け、現在有効な狂犬病タグの付いた首輪を着けていなければならない(CCC 10.08.070(a)、10.08.080)
- 生後4か月を超える犬・猫は、マイクロチップを装着していなければならない(CCC 10.08.070(b)。2025年8月4日施行)。チップを入れられない体質などで獣医師が証明した場合は免除
- 生後4か月を超える犬・猫・フェレット・ペットのウサギ・ポットベリーピッグは、避妊去勢していなければならない(CCC 10.08.132(a))
3つ目は見落とされがちです。狂犬病タグとマイクロチップは知られていても、避妊去勢が郡の一般的な飼育義務だというのは、あまり案内されていません。ブリーダー/ショー許可で飼っている犬猫、法執行機関が使役する犬、そしてその手術に耐えられないと獣医師が書面で証明した動物は対象外です(一時的な不適合なら、その期間を書いた証明が要り、期間を超えて免除を続けるには取り直しになります)。シェルターや保護団体、販売業者が譲渡・販売の前に手術を義務づけている場合も別枠です。
そして、ここが一番きわどいところです。「郡内に住んで30日未満」という猶予は、マイクロチップの義務にしか付いていません(CCC 10.08.070(c))。ショーや展示で30日未満だけ持ち込む動物の例外も、同じくマイクロチップの条文の中にあります。避妊去勢のほうに、引っ越してきたばかりだからという猶予はありません。 未手術の犬猫と一緒に郡の未編入地域へ引っ越すなら、獣医師の証明を取るか、手術を予定に入れるか、どちらかを渡米前に考えておくことになります。
マイクロチップは、CDCが入国時に求め、郡が居住中に求める。二重に効いてくるので、ここは最初に済ませておくところです。
なお、飼育頭数が増えると許可が要ります。生後4か月超・避妊去勢済みが前提で、犬は3頭を超えて6頭まで、猫も3頭を超えて10頭までが Pet Fancier 許可の範囲(狂犬病接種・マイクロチップ・年次更新などの条件付き)。ブリーダー/ショー許可はまた別枠です。申請はオンライン受付を終了していて、書類と手数料を 4701 W. Russell Rd. の窓口に直接持ち込む必要があります。手数料は小切手かマネーオーダーのみ。現金もカードも使えません。
飛行機に乗せる条件は、航空会社が決める
ここまでは政府の要件です。これとは別に、利用する航空会社の条件を確認しないと、そもそも搭乗できません。 機内に持ち込めるのか貨物室なのか、ケージの規格、犬種の制限、そして夏場の高温期は輸送そのものを止める会社があります。各社で大きく違い、季節でも変わるので、日程を決める前に予定の航空会社へ直接確認してください。
順番だけ、もう一度
- 渡米が決まる
- 日本にいるうちに——マイクロチップ、狂犬病ワクチン(種類の確認も)、(帰国の可能性があるなら)抗体価検査
- ネバダ州が受理する様式の健康証明書(発行は認定獣医師に限られる。様式は州農務局かUSDAに確認)
- NACCSで輸出検査を申請(検査希望日の14日前まで)
- 出発前10日以内に輸出検査、輸出検疫証明書を受け取る
- CDC Dog Import Form を記入(犬のみ・無料・6か月前から可)
- 入国。犬は生後6か月以上、マイクロチップ、健康であること
- 着いたら、住所の管轄のルールに合わせる。クラーク郡のルール(狂犬病タグ・マイクロチップ・避妊去勢)が直接かかるのは郡の未編入地域で、ヘンダーソン市・ラスベガス市・ノースラスベガス市内はそれぞれ市の条例。猶予30日があるのはマイクロチップだけ
このどれと並行しても、航空会社の輸送条件の確認は必要です。政府の書類がそろっていても、乗せてもらえなければ動けません。
抜けやすいのは 2 と 3 です。米国到着後にUSDA認定獣医師のもとで進めることもできますが、抗体検査の採血日から180日の待機は避けられないので、帰国を急ぐ可能性があるなら日本出発前に済ませておいたほうが安心です。日本へ戻すときは、この記事の前半で挙げた出国前10日以内の臨床検査と政府機関の証明書(政府獣医師の裏書)も要ります。
編集メモ:手続き・条件は各公式で再確認しました。CDC、USDA APHIS、動物検疫所、NAC 571.080、クラーク郡です。確認日は2026年7月28日。反映したのは次の5点。CDCフォームのメール確認フロー。ワクチンの91日齢・30日間隔。2027年の輸出申請義務化の基準日。郡マイクロチップ義務の30日例外。ネバダ州の狂犬病ワクチンの年齢条件です。この年齢条件は2026年8月3日に是正しました。旧稿は「生後3か月以上」。正しくは「生後12週以上」です。根拠は改正規則R001-23の原文。米国滞在中でもUSDA認定獣医師によるマイクロチップ確認・狂犬病ワクチン・抗体価検査・健康証明書の取得は可能で、問題は「米国ではできない」ことではなく採血日からの180日待機であることをUSDA APHIS「Pet Travel From the United States to Japan」で確認し、本文の「日本を出てからでは取り返しがつかない」という記述を修正しました。2026年8月10日の最終監査(R3)で5点を直しました。①ledeと冒頭が「CDCはフォーム1枚」を無条件に書いていたので、「入国前6か月間、高リスク国に滞在していない犬なら」という条件を戻しました。②日本へ戻す手順から、出国前10日以内の臨床検査と、輸出国の政府機関が発行する証明書(Form ACは民間獣医が記入し政府獣医が裏書)の2工程が抜けていたので足しました。③日本が受理する狂犬病ワクチンの種類(生ワクチンとRNAワクチンは不可)を足しました。④クラーク郡の避妊去勢義務(CCC 10.08.132)が丸ごと抜けていました。あわせて条例原文を読み直したところ、「郡内に住んで30日未満」の猶予はマイクロチップの条文(10.08.070(c))にしか無く、避妊去勢には猶予がないことも分かりました。⑤ネバダ州の健康証明書について「日本を出る前にしか用意できない」と断定していましたが、規則に期限・場所の条件は書かれていないので、断定を外しました。航空会社ごとの条件(機内持ち込み可否・貨物室の温度規制・夏季の輸送停止など)は、この記事では扱っていません。 各社で大きく違い、季節でも変わるため、必ず利用予定の航空会社に直接確認してください。日本への再入国の詳細(抗体価の基準値、待機期間の数え方)は動物検疫所の「輸入」ページに正本があります。この記事は一般的な情報であり、法律・獣医学上の助言ではありません。個別の判断は、獣医師と動物検疫所にご確認ください。ルールは変わります。
※この記事は一般的な情報提供です。 法律・獣医学上の助言ではありません。手続き・条件(特に犬の待機期間や隔離の扱い)は変わることがあり、判断を誤ると長期の隔離や入国拒否につながります。実際の手続きの前に、必ずCDC・動物検疫所の最新の公式案内と、かかりつけの獣医師にご確認ください。