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お土産の双方向リスト——帰りに没収されないための、日米それぞれの線引きA two-way souvenir list — what US and Japanese customs each take off you at the border
最終更新: 2026年7月18日 | 最終確認: 2026年8月10日 | YO-MIDOKORO編集部 | 約11分

お土産でいちばんトラブルになりやすいのは、悪気のない「肉」です。アメリカから日本へビーフジャーキーは事実上アウト、日本からアメリカへも肉と生鮮でひっかかる。厄介なのは、行きと帰りで線引きが違うこと。だから片方向だけ覚えても足りません。両方向の「持ち込めない/条件つき/だいたい平気」を、先に頭へ入れておきます。
スーツケースの隅で一番トラブルになるのは、貴金属でも酒でもなく、たいてい食品です。それも「これくらい大丈夫だろう」と思ったお土産の肉。日米は、行きと帰りで検疫のルールが別物なので、両方向を分けて押さえておきます。
アメリカ → 日本に持ち込む
日本側で厳しいのは、肉製品です。ビーフジャーキー、サラミ、ソーセージ、ハム、肉まんなど、肉そのものを含む食品は、生・冷凍・加熱済みのどれであっても動物検疫の対象です。米国産の肉製品は、個人がお土産用に輸出国政府の検査証明書を用意するのが現実的でないため、実質的に持ち込めないと考えてください。無申告で見つかると、300万円以下の罰金または3年以下の拘禁刑という重い罰則があります(動物検疫所:肉製品などのおみやげについて)。
一方、「肉エキス入り」の線引きは2026年7月1日に文書になりました。この日から急に緩くなったわけではありません——動物検疫所は「指定外基準」を、リスクに応じて行っている現行の対応を明文化したものだと説明しています。固形の肉が目に見えない工業製品——エキスやスープの素・コンソメ、密封後に加圧加熱殺菌した缶詰・瓶詰・レトルト、カップ麺の乾燥具など——は、基準を満たせば「指定外」として扱われます(動物検疫所:指定外基準)。ただし指定外であっても、輸入検査が必要なものがあります。検査がゼロになるという意味ではありません。
そして、これらは同じ基準ではありません。品目ごとに別の番号の基準が立っていて、条件も違います。ここを一括りにすると、商品表示を見て違う物差しを当てることになります。
エキス(基準14・15)。「骨・肉・皮などを60分以上煮沸するか、これと同等以上の湿熱による加熱処理で得られた液汁」か、「湿熱で加熱した液汁から固形物を除いたあと、100℃以上で10分間以上またはこれと同等以上の加熱」。どちらの経路にも共通して「ろ過や遠心分離などで目に見える固形物が除去されていること」が要ります。煮沸時間を満たしても、肉片が見えていれば指定外になりません。ビーフエキス、チキンブロス、スープストックなどがここです。
調味料・調味液(基準21)。スープの素やコンソメはこちらで、加熱時間の指定はありません。条件は「加熱処理・加水分解などをした肉・臓器・脂肪等を原料の一部に含む食品で、最終使用形態になっていること」、そして「肉・臓器・脂肪等の固形物が認められないこと」。
即席食品の具(基準31)。カップ麺やカップ焼きそば、カップパスタの具です。条件は「鍋などでの加熱調理を経ず、カップに湯を加えることで完成するカップ入り即席食品の、最終使用形態に含まれる具」で、「乾燥している」「工業的に製造された」もの。対象はカップ入りに限られ、袋麺は湯を注ぐタイプでもこの基準から外れます。
基準に当てはまることを証明するのは、持ち込む側です。確認できなければ指定検疫物として扱われることがあります。だから輸入者は輸入前に成分表・製造工程などの資料を添えて動物検疫所に相談するのが定められた手順です(到着時にその場で申告して確認してもらう、という運用ではありません)。箱と成分表は捨てずに持っていってください。この明文化の中身は解説記事に詳しくまとめました。
果物・野菜・種子・切り花も、原則として輸出国政府が出す検査証明書がなければ持ち込めません(品目と国によっては証明書が不要なものもあります。植物防疫所:海外からの持込みFAQ)。
| アメリカ→日本 | 品目の例 |
|---|---|
| 事実上ダメ | 肉そのものを含む食品全般(ジャーキー・サラミ・ハム・肉まん)、証明書のない果物・野菜・種子(※一部の植物は証明書が不要。品目と国で違う)、生卵・生乳 |
| 条件つき | 肉エキス系は品目ごとに基準が別。エキス(基準14・15)は60分以上の煮沸か100℃以上10分間以上の追加加熱で、かつ目に見える固形物が除去されていること。スープの素・コンソメ(基準21)は加熱時間の指定がなく、最終使用形態で固形物が認められないこと。カップ麺等の乾燥具(基準31)は湯を加えるだけで完成するカップ入り即席食品の具で、乾燥・工業的製造であること——ただし指定外でも輸入検査が必要なものがあり、当てはまることを証明するのは持ち込む側。不明なら輸入前に成分表・製造工程を添えて動物検疫所へ相談。チーズ・バター等の乳製品は、販売や営業に使う目的でなく10kg以下(飼料用は除く)なら動物検疫の対象外。なお携帯品・別送品として持ち込む場合も、この量を上回るもの・販売目的のもの・飼料用のものは検査証明書を取っておくことが望ましいとされています。ドライフルーツ・ナッツは品目と原産国しだい |
| だいたい平気 | 缶詰・瓶詰・レトルト(密封後に中心部まで加圧加熱殺菌するなど、指定外基準を満たすもの。基準に合うか不明なら輸入前に動物検疫所へ相談)、菓子・チョコ・スナックのうち肉を原料に使っていないもの(肉入りは完成品でも検疫の対象) |
免税の枠は覚えやすい数字です。酒は760ml換算で3本、紙巻きたばこ200本、そのほかの品物は海外市価の合計20万円まで。ただし、この枠は全員に同じようにかかるわけではありません。税関は「20歳未満の場合は『酒類』と『たばこ』は免税になりません」「6歳未満のお子様は、おもちゃなど明らかにお子様本人の使用と認められるもの以外は免税になりません」と明記しています。家族の人数で20万円を掛け算するときは、小さい子の分をそのまま数えられないということです(税関:携帯品の免税範囲)。薬は区分で数量が違います。厚生労働省の区分は3つです(医薬品等の個人輸入)。外用剤(毒薬・劇薬・処方箋薬を除く)は標準サイズで1品目24個以内、毒薬・劇薬・処方箋薬は用法用量からみて1か月分以内、それ以外の医薬品・医薬部外品は2か月分以内。
見落としやすいのが24個枠の括弧です。ここで枠を分けているのは「その薬が処方箋薬にあたるか」であって、あなたが医師に出してもらったかどうかではありません。厚生労働省は処方箋薬を「有効で安全な使用を図るため、医師による処方が必要とされる医薬品」と定義しています。市販もされている外用剤を医師に処方してもらっただけなら、24個の枠のままです。逆に、処方箋薬にあたる外用剤は24個枠から外れて1か月分の枠になります。
「外用剤」の範囲にも注意。厚労省の書き方は「軟膏などの外皮用薬、点眼薬など」で、軟膏と点眼薬だけに限られません。剤形で迷ったら、24個枠を当てにせず1か月分・2か月分の枠で見積もっておくほうが安全です。成分によっては、数量にかかわらず医師の処方箋が確認できないと輸入が認められないものもあります。海外でサプリとして売られていても、成分によっては日本で医薬品扱いになるものがある点にも注意を。
日本 → アメリカに持ち帰る
帰りの線引きはまた別です。まず持ち込めない・持ち込みにくい定番の落とし穴から。
- Kinder Surprise(おもちゃが中に入った一体型のチョコエッグ) — 食品の中に非食用の異物を封じた菓子は米国の法律に触れ、CBPが没収・廃棄します(FDA Import Alert 34-02)。ただしおもちゃとチョコが分離しているKinder Joyは合法。似ているのに扱いが正反対なので注意。
- 生鮮の果物・野菜 — 機内食の残りも含め、ほぼ全て持ち込めません。
- 自家製の缶詰・瓶詰にした果物・野菜 — USDAは「缶詰の作り方は家庭ごとに違い、害虫や病気のリスクを取り除けないことがある」として不可としています。市販の缶詰の果物・野菜は、申告すれば持ち込めます。缶詰・真空瓶詰の食品一般については、CBPが「肉・家禽製品を含むものを除き、個人消費なら概ね持ち込み可」としています。「手作りだから全部だめ」ではなく、止められるのは果物と野菜という線引きです。
| 日本→アメリカ | 品目の例 |
|---|---|
| ダメ | Kinder Surprise(一体型)、自家製の缶詰・瓶詰の果物と野菜 |
| 原則不可・要申告 | 生鮮・冷凍の果物野菜(品目や原産国で判断されるため、持って行くなら必ず申告) |
| 条件つき・グレー | だし・カレールー・ふりかけなど肉エキス入りの加工食品は肉製品規制にかかり得る(要申告・係員判断)。月餅は肉入りが不可。肉なしでも卵黄など動物由来の材料や内容確認のしやすさで判断が分かれるため申告を |
| だいたい平気 | 焙煎コーヒー・茶葉100%のお茶、市販のスナック菓子・チョコ・キャンディ、醤油・味噌など肉エキス不使用の調味料、はちみつ(個人消費) |
肉・鶏肉のジャーキー類は、商業包装・未開封・常温保存可能といった条件を満たせば持ち込める余地がありますが、日本の疾病ステータスは牛・豚・鶏など畜種と病気ごとに別々に判定されるため、一括りに「日本産なら大丈夫」とは言えません。最終的には申告のうえ検査官の判断です(USDA APHIS: Meats, Poultry, and Seafood、Fruits and Vegetables ほか)。現金は、家族・グループ合算で1万ドルを超えると申告義務があります(CBP: Money and Other Monetary Instruments)。
迷ったら「申告する」——これが一番の防御
両方向に共通していえるのは、黙って持ち込むより、申告したほうが結果的に軽く済むという基本姿勢です。米国側では、CBPがこう説明しています。正しく農産物・食品を申告していれば、その場で没収されても罰金の対象にはならず、無申告で見つかった場合に初めて非商業目的・初回で最大1,000ドル程度の民事制裁金が科されます(CBP: Bringing Agricultural Products into the United States)。米国のCBP申告書でも、食品を持っていれば「Yes」にチェックするのが正解です(CBP: Bringing Food into the U.S.)。日本側は少し構造が違います。動物検疫の対象になる肉製品は、無申告で違法に持ち込むこと自体が処罰対象(300万円以下の罰金または3年以下の拘禁刑)であり、「申告すれば罰則なし」という明文の一般原則があるわけではありません。ただし、正しく申告して没収を受け入れるほうが、隠して持ち込んで発覚するより結果は軽くて済みます。逆に、黙って持ち込んで発覚すると、罰金や、Global EntryなどTrusted Traveler資格の取消し・失格につながります。
グレーゾーン——カレールーやだしパックのような「肉エキスが微量に入った」日本食品——は、まさに申告が効く場面です。禁止と断言できないぶん、隠すと危うい。申告して係員の判断に委ねるのが、結局いちばん損の少ない持ち帰り方です。無申告で持ち込むのではなく、正しく申告する。それだけで、無申告による罰則のリスクは避けられます。最終的にどう扱われるかを決めるのは係員ですが、隠して見つかるより先はずっと短くて済みます。
※この記事は一般的な情報提供です。 個別の医療・法律・税務・移民・保険・金融に関する助言ではありません。制度・料金・要件は変わることがあり、実際の手続きや判断の前に、医師・弁護士・CPA(会計士)・各公式窓口など専門家にご確認ください。