移住Moving here
ラスベガス移住①──日本を出る前に、やっておくと後がラクなことMoving to Las Vegas (1) — what to settle in Japan before you fly, in the order it pays off later
最終更新: 2026年7月7日 | 最終確認: 2026年8月2日 | YO-MIDOKORO編集部 | 約8分

移住のつまずきは、たいてい「日本にいるうちにやれたのに」という一手から始まります。書類・お金・日本のサービス・荷物。渡米前に片づけておくべきことを、着いてから効いてくる順に並べます。
移住のつまずきは、たいてい「日本にいるうちにやっておけば5分だったのに」という一手から始まります。渡米してからでは取り寄せに時間がかかる書類、日本の口座がないと止められない支払い、現地では手に入らない常備薬。日本にいる今しかできないことを先に片づけておくと、着いてからの一か月がまるで違います。
これは移住シリーズの第1回。日本を出る前のチェックリストです。着いてからの動きは第2回以降で。
書類:現地で「原本」を求められるもの
手続きによっては、紙の原本を求められます。日本を出てからでは取り寄せに数週間かかるので、まとめて用意を。提出先ごとに必要な書類と翻訳の形式が違うので、分かっている範囲で先に確認しておくと、作り直しが減ります。
| 用意するもの | 使う場面 |
|---|---|
| パスポート(有効期限に余裕を) | あらゆる本人確認・銀行・DMV |
| 戸籍謄本+その英訳 | 結婚・出生・ビザ関連の証明 |
| 運転免許証+国際運転免許証(IDP) | 日本の免許の翻訳として携行(着後すぐの運転に) |
| 予防接種の記録(子ども) | 学校の入学時に提出を求められる |
| 学校の成績・在学証明+英訳(子ども) | 編入の学年判定 |
| 婚姻・出生などの各種証明+英訳 | 各種申請 |
英訳は、提出先が求める形式(誰の翻訳か、認証が要るか)を先に確認したうえで、日本にいるうちから準備を始めてください。特に子どもの予防接種記録と成績証明は、現地校の入学時に提出を求められることがあります。
なお国際運転免許証(IDP)は、ネバダ州で外国人旅行者に一律義務付けられているものではありません。あくまで日本の免許の内容を翻訳する補助書類で、単体では運転できず、有効な日本の運転免許証と併せて携行するものです。
ただしこれは非居住者の話です。ネバダ州法(NRS 483.245第1項)は、ネバダの住民になった人に対し、住民になってから30日以内にネバダの運転免許を取得することを、州内で運転するための前提条件としています。しかも日本の免許からの切り替えは、他州からの移管とは経路が違います。日本の免許しか持っていない人は、視力・知識・技能の試験を受けることになります。手順はネバダの運転免許にまとめました。出発前にやるのはIDPの取得までで、残りは着いてからです。DMVのDriver Testingページは、カナダ以外の外国の免許を現に持っている人について視力・知識・技能の3試験を課すとしており、取得できるかどうか自体も在留資格によって変わります。IDPで乗り切れるのは最初の1か月だけと考えて、着いたら早めにDMVで必要書類と自分の資格を確認してください(新住民ガイド/Driver Testing)。
お金:日本の口座・カードを残せるか、出国前に確認する
渡米直後はアメリカにクレジット履歴がありません。だから日本の金融をすぐには切らないほうが動きやすい。
日本の銀行口座は送金や日本側の支払いに使えます。日本のクレジットカードも1枚あると、アメリカのカードが作れるまでの数か月をつなげます。ただし海外転出届を出すと住民票が抜け、口座やカードの扱いが変わることがあるので、各社に「海外転居後も使えるか」を先に確認してください。残せるかどうかは会社によります。
まとまった現金を物理的に持ち込む・持ち出す・郵送する場合、合計が$10,000を超えると米国税関(CBP)への申告義務があります(FinCEN Form 105、31 CFR §1010.340)。境界は「超」なので、ちょうど$10,000は申告不要です。注意したいのが合算の範囲で、家族やグループで移動するときは一人あたりではなく全員の合計で判定されます。対象は現金だけではありません。手荷物の中身を2つに仕分けてください。
- 数えるもの — 現金/トラベラーズチェック/裏書のない小切手・約束手形・マネーオーダーなど持参人払い式のもの/受取人名が空欄の署名済み小切手類/無記名の有価証券
- 数えないもの — 宛名が特定の人になっていて裏書のない小切手/倉庫証券・船荷証券
銀行間の通常の電信送金は現金を物理的に運ぶわけではないので、この申告の対象外です(同条(d))。対象になるのは、現金などを実際に手荷物や郵便・宅配便で国境を越えて動かすケースです。郵送で受け取る場合は、義務が自分に回ってくることがあります。日本から現金等を物理的に送ってもらったとき、送った側が申告していなければ、受け取ったあなたが受領から15日以内に申告しなければなりません(31 CFR §1010.306(b)(2))。送る人に、申告したかどうかを先に確認しておいてください。
日本からの送金の具体的な手段(手数料とレートの比較)は、着いてからの送金ガイドで詳しく扱っています。
在留届を出す(3か月以上なら義務)
海外に3か月以上滞在する日本人は、旅券法第16条により在留届の提出が義務づけられています。外務省のオンライン在留届(ORRネット)から出せます。
渡航前に片づけられるのがいいところです。公式の案内では、現地到着の90日前から提出でき、在留地の住所・電話番号が未定でも提出できます(決まってから変更届で更新)。ラスベガスの住所が決まっていないことを理由に後回しにしなくて大丈夫です。
公式:オンライン在留届 ORRネット。パスポートの更新まわりはパスポートの更新にまとめてあります。
日本のサービス:止める・変える・残す
出発前に棚卸ししておくと、二重払いや「解約できない」を防げます。
止める:使わなくなるサブスク、ジム、保険の一部、公共料金。変える:携帯(番号を残すなら休止プランやeSIM、番号を捨てるならMNP前提を確認)、郵便物の転送先。残す:日本の銀行・カード1枚、マイナンバー関連、必要なら実家を連絡先に。
年金・国民健康保険・住民税は、海外転出のタイミングで扱いが変わります。年金をどう扱うか(続けるか、やめるか)で将来の受給が変わるので、年金ガイドを出発前に一読しておくと判断しやすい。
荷物:現地で買えないものだけ持つ
原則は「現地で買えるものは現地で」。かさばる家電や家具は持たない(電圧も違う)。優先して持つのは、現地で手に入りにくいものです。
常備薬、子どもの学用品で愛用のもの、日本語の本、そして食べ慣れた調味料を少し。とはいえ食材や日用品はベガスでも意外と揃います。
薬と食品は、持っていく前に確認が要ります。日本の市販薬は成分が違って現地で手に入りにくい一方、日本で買える薬がそのまま米国に持ち込めるとは限りません。FDAは、米国で承認されていない薬を個人使用のために持ち込むことは原則として違法だとしています。他国で認可されていても、米国で未承認なら同じです。
CBPの案内を、準備する順に並べるとこうなります。
- 量を決める — 個人使用の範囲まで。目安は90日分
- 容器を決める — 処方薬は処方内容が印字された原容器のままが基本
- 原容器でないなら書類を足す — 処方箋の写しか、処方した医師の手紙を携行する
- 入国時に申告する — 薬はすべて申告します
調味料や食品も、少量でも申告が必要です。CBPが申告義務の対象として挙げているのは、肉類・果物・野菜・植物・種子・土壌・動物と、その加工品です。加工品にはスープやスープの素も入ります。
日本人の持ち物では、だしの素・コンソメ・カップ麺・レトルトが問題になりやすい食品です。牛肉エキスのように、制限国の食肉が原材料に入っているものは製品ごと止められることがあり、判断は原材料表示で決まります。未開封の原包装とレシートを残しておいてください。中身を説明できます。
申告しないまま見つかった場合は、没収に加えて民事制裁金の対象になります。CBPは非商業的な量の初犯で最大$1,000としています。迷ったら申告してください。何が現地で買えるかは、着いてからの日本食材図鑑やパン屋図鑑で確認を。
着いてから使う「情報」を先に仕込む
最後に、渡米後すぐ動けるように情報を準備しておきます。到着日の空港からの移動手段、最初の数日の宿、SIMの当たりをつける。日本のテレビやニュースを海外でどう見るかも、出発前に段取りしておくと寂しくない(日本のメディアの見方)。ベガスは夏の暑さが本気なので、夏に着くなら暑さ対策にも目を通しておくと安心です。
次回は、到着初日にやること。空港を出てから最初の一日で、SIM・移動・住まい・食料と水をどう押さえるか。着いたその日に迷わないための動き方を、時間の流れで追います。
※この記事は一般的な情報提供です。 個別の医療・法律・税務・移民・保険・金融に関する助言ではありません。制度・料金・要件は変わることがあり、実際の手続きや判断の前に、医師・弁護士・CPA(会計士)・各公式窓口など専門家にご確認ください。