交通 →Traffic → 今週号:This issue: 2026年8月3日(月)

生活実用Practical living

一時帰国の手続き地図——役所と銀行の窓口は平日の日中が中心。何から回すかA map of errands for a trip home to Japan — city offices and banks are mostly weekday daytime, so what comes first

限られた平日のうちの一日。窓口でしかできないことから逆算する(イメージ)
限られた平日のうちの一日。窓口でしかできないことから逆算する(イメージ)
1分でわかる動画版(音声・字幕つき)

帰国の平日は、思っているより少ない。そして役所と銀行の窓口は平日の日中が中心です(休日窓口や予約制、オンライン対応がある自治体・銀行もありますが、当てにして組むと外します)。だから「日本にいる間しかできないこと」から逆算して組むのが鉄則です。住民票、マイナンバーカード、銀行口座、年金——どれを窓口で片づけ、どれは後回しにできるか。手続きの地図を先に描いておきます。

一時帰国のスケジュールは、あっという間に埋まります。家族に会い、病院に行き、買い物をして——気づけば平日はもう残っていない。ところが役所と銀行の窓口は、その平日の日中が中心です。休日窓口や予約制の枠、延長営業、オンライン申請がある場合もありますが、自治体と銀行によって差が大きいので、あるものとして組まないのが安全です。だから帰国の手続きは、「窓口に行かないとできないこと」から逆算するのがコツです。

住民票を「抜く」か「残す」か

まず土台になる分かれ道です。海外に長く住むなら住民票を抜く(海外転出届)のが原則で、これが他の手続きの前提を決めます。

先に断っておくと、これは手続き上の損得で選ぶものではありません。住民登録は生活の本拠がどこにあるかで決まります。以下は「どちらを選ぶか」ではなく、「自分の状況ではどちらになるのか、そのとき何が変わるのか」を確認するための整理です。

効いてくるのが住民税の「1月1日ルール」。住民税は1月1日時点で生活の本拠となる住所がある自治体が、前年所得に基づいて課税します。1月2日に出国してもその年度分は課税対象で、逆に1月1日より前に転出が済んでいれば非課税になり得ます(板橋区:国外転出するときの住民税の手続き)。ただし税法上の「住所」は住民票の有無だけでなく生活の実態で判断されるため、住民票を抜いたことだけで機械的に非課税が決まるわけではありません。住民票を抜くと国民健康保険の資格を失い、国民年金の強制加入からも外れます(総務省:住基台帳制度・転入転出)。「1年以上なら転出」という実務上の目安はありますが、最終的には生活実態での判断なので、迷う場合は住んでいた市区町村の窓口で確認してください。

なお、健康保険と医療費の詳しい話は歯科・人間ドックの記事に、在留届・たびレジは在留届とたびレジの記事にまとめています。この地図では位置だけ押さえておきます。

マイナンバーカードは、抜いても失効させない

ここは制度が新しくなった重要ポイントです。2024年5月27日から、日本国籍の人は国外転出後もマイナンバーカードを継続して使えるようになりましたマイナンバーカード総合サイト:国外で利用する)。

ただし、自動ではありません。国外転出予定日の前日までに「国外継続利用」の申請を出す必要があります。これを忘れて転出すると、カードは転出予定日に失効します。すでに海外にいてカードを持っていない人も、2015年10月5日以降に国外転出した日本国籍の人であれば新規に申請できます(オンライン申請が可能で、受け取りは在外公館などを指定できます。新規交付の手順)。転出届を出すその足で、継続利用の申請までセットで済ませておくのが安全です。

銀行口座は、窓口に行けるうちに聞いておく

非居住者になったあとの口座の扱いは、銀行によって方針が違います。一律のルールはありません。

だからこの記事では、特定の銀行名で「維持できる/できない」を断言しません。確かなのは2つ。必要な届出や利用制限は銀行ごとに違うこと。そして各行に個別に聞くしかないということです。口座は日本にいる間しか窓口へ行けないので、帰国前に各行へ確認し、来店が必要な手続きは滞在中にまとめて片づけます。

年金は、任意加入で「続けられる」

住民票を抜くと国民年金の強制加入からは外れますが、日本国籍があれば任意加入で続けられます(20歳以上65歳未満、日本年金機構:国民年金の任意加入)。納めた期間は将来の老齢基礎年金に反映され、任意加入して保険料を納めていれば、海外在住中に亡くなったとき・障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます(任意加入しても保険料を納めなければ年金額には反映されません)。

すでに渡米した後でも手続きできます。窓口は状況で4つに分かれます。

状況窓口
これから海外へ転出するお住まいの市区町村
すでに海外・国内協力者がいる日本の最後の住所地の市区町村
すでに海外・協力者なし・日本に住んだことがある最後の住所地の年金事務所
すでに海外・協力者なし・日本に住んだことがない千代田年金事務所

「国内協力者」は、手続きや保険料の納付を代わりにやってくれる日本にいる親族のこと。実家の親に頼めるなら、この線がいちばん軽く済みます。

注意が2つ。任意加入している間は、免除・納付猶予・学生納付特例の申請ができません。そして一時帰国で短期間でも住民票を入れると、その期間は強制加入に切り替わります。ただし自動ではなく、市区町村での切替手続きが要ります(通常は20歳以上60歳未満が対象で、60歳以上は帰国しただけで一律に強制加入となるわけではありません)。抜いたまま滞在するか入れ直すかは好みで選べるものではなく、住民登録が必要な居住実態かどうかで決まるので、迷う場合は自治体に確認してください。

平日をどう配分するか

地図を描いたら、あとは優先順位です。考え方はシンプルで、「役所に行かないと絶対にできないこと」を平日の昼に集める。それ以外は前後にずらせます。

平日の窓口が要る(最優先)オンライン・在外公館で済む(前後にずらせる)
転出届/マイナンバーカードの継続利用申請、銀行の非居住者手続き(来店が要るかは各行に確認)在留届・たびレジ(オンライン)、マイナンバーカードの一部更新(在外公館)、ねんきんネットでの確認、国民年金の任意加入(上記のとおり海外からでも可)

「何日で回れる」という時間の見積もりは人と自治体によって差が大きいので、ここでは断言しません。ただ、優先順位の付け方さえ間違えなければ、限られた平日でも要のものは片づきます。帰国前に、この地図のうち自分に関係する行だけを紙に抜き出し、「窓口でしかできないこと」を上に、オンラインで済むものを下に並べ替えておく。その一枚が、平日を溶かさない一番の準備になります。


※この記事は一般的な情報提供です。 個別の医療・法律・税務・移民・保険・金融に関する助言ではありません。制度・料金・要件は変わることがあり、実際の手続きや判断の前に、医師・弁護士・CPA(会計士)・各公式窓口など専門家にご確認ください。
出典クリックで開く
総務省 / デジタル庁・マイナンバーカード総合サイト / 日本年金機構 / 外務省 / 板橋区(いずれも2026年7月時点)。2026-08-12、「非居住者向けの届出を出せば維持できる銀行もあれば、来店での手続きを求める銀行、対応そのものが限られる銀行もある」という銀行の3類型と、平日配分の表にあった「来店必須が多い」は、銀行横断でそう分類した一次資料を確認できなかったため削除した(外部裏取り第1弾で再現できず)。「帰国前に各行へ確認し、来店が必要な手続きは滞在中にまとめて片づける」という行動の助言は残し、表の括弧書きは「来店が要るかは各行に確認」に置き換えた。あわせて見出しも「銀行口座は、放置がいちばん危ない」→「銀行口座は、窓口に行けるうちに聞いておく」に変更=3類型を削ったことで、節の中身が「銀行ごとに違うので各行に確認する/窓口に行けるのは日本にいる間だけ」だけになり、「放置がいちばん危ない」という危険度の順位づけを支える記述が本文から消えたため。新しい見出しは本文とledeの「窓口に行かないとできないことから逆算する」という組み立てに合わせた

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